みなさん、こんにちは。
一般社団法人かたわらの高橋悠太です。
2024年3月23日に、東京YWCA カフマンホールにて、沖縄・長崎・広島の戦争体験の「継承」について考えるシンポジウム及びワークショップを開催しました。一般社団法人かたわらは開催に協力しました。
本シンポジウムを行ったのは、目まぐるしく変化する国際情勢、そして現在も戦争・紛争が続く国、地域がある中で、戦争体験の継承をすることがなぜ大切なのか、というのを真剣に考えてみたいというねらいがありました。
そこで今回のシンポジウムでは、まず沖縄・広島・長崎で実践してきた登壇者に、各地の過去、今の状況を報告してもらい、続くワークショップでは、会場の方々も交えて、世代を超えて継承について議論を行いました。各登壇者の報告内容とワークショップについて紹介します。(イベントの様子を司会者の石川ゆうとさんにレポートを書いていただきました!ぜひご覧ください!)
プログラム&レポート
【オープニング 司会 狩俣日姫(かりまた につき)・石川勇人(いしかわ ゆうと)】
狩俣日姫
プロフィール:高校卒業後留学を経て沖縄の文化や歴史を学ぶ重要性を感じ、帰国後教育現場を中心に平和教育を行う。2022年に株式会社さびらを共同創業し「平和教育ファシリテーター」として参加者同士の対話や問いかけを重視した教育プログラムを実践。
石川勇人
プロフィール:1998年生まれ。那覇市出身。沖縄国際大学大学院修士課程修了。大学生の頃から沖縄戦の継承団体に所属しながら、沖縄戦体験者へ聞き取り調査を行う。現在は、沖縄戦体験者のみならず、沖縄戦体験者の声を聞いてきた「記録者」への聞き取り調査も行っている。研究テーマは沖縄戦の記憶の形成と継承。専門は記憶研究、トラウマ研究、ライフヒストリー研究。
【第1部 実践報告】
広島に関する報告:高橋悠太
プロフィール:2000年広島県福山市生まれ。中学校のクラブ活動で、被爆者らと出会い、核問題に関わり始める。22年、核兵器禁止条約締約国会議、NPT再検討会議に渡航し、現地でスピーチ。大学卒業後、一般社団法人かたわらを設立し、調査研究と講演で全国をめぐる。
髙橋さんからは、髙橋さんが被爆者の声をどう受け止めてきたのかが話されました。また、過去のヒロシマ、現在の広島を冷静に見つめた時に、どのような声が聞き取られ、一方で聞き取られていないのかという問題提起もありました。
長崎に関する報告:藤田裕佳
プロフィール:1999年生まれ。長崎大学多文化社会学部多文化社会学科卒業。現在は一橋大学・国際公共政策大学院グローバル・ガバナンスプログラムにて、国際政治学を専攻中。高校時代から高校生平和大使、大学時代はナガサキ・ユース代表団の一員として、核兵器廃絶を訴える活動を行ってきた。現在は国際NGO “REVERSE THE TREND”の日本支部ユースコーディネーターとして活動している。
藤田さんからは、長崎では、生徒が積極的に学習を行うことを目的とする、アクティブ・ラーニングを取り入れた継承実践が行われているという報告がありました。一方で、平和教育の現場では、戦争当時の残酷な写真を生徒に見せないよう、初めから恐怖心・忌避感を抱くモノは取り除いているといった、現代の平和教育の現場での課題についても報告してもらいました。
沖縄に関する報告:仲本和
プロフィール:1999年生まれ、沖縄県出身。沖縄国際大学卒業。2018年から中高生・大学生に向けて沖縄戦や在日米軍基地についての講義、ワークショップ、フィールドワークを行なっている。2022年には沖縄県主催シンポジウムに登壇。最近は、平和啓発事業や米軍基地問題発進事業に従事する。
仲本和さんは、沖縄戦を学ぶ高校生たちが、どの程度沖縄戦に関心を抱いているのかという点について、仲本さんが独自にアンケート調査を行ったデータを用いながら、平和学習を学ぶ側の視点を共有しました。
【第1部 登壇者によるクロストーク】
第1部の最後には、参加者の皆さまから事前にいただいた質問項目や、それぞれの報告でより深く聞く必要があると感じた、①若い世代が戦争中、戦後の話を受け止めきれない際、どのような工夫を現場で行なっていますか、②継承の中で議論されない、語り継がれてこなかった話は、具体的にどのようなエピソードがありますか、の2点について司会が登壇者に質問し、より詳しいお話を登壇者から聞くことができました。
【第2部 ワークショップ開始】
ワークショップでは、株式会社さびらの狩俣日姫さんが中心となって、少人数グループを作り、会場参加者同士、継承について議論を行いました。会場からは、継承をどの視点から捉えるかで、伝え方・語る内容も変わるのではないかといった疑問、家族の中で戦争体験が語られなかったといったケース、そして継承の方法として、演劇を通した継承などが紹介されるなど、幅広い論点を共有していただきました。一般社団法人かたわらの高橋もコーディネーターとして、各グループの議論をリードしたり、教育分野に関わらず、それぞれのコミュニティの中でどう実践できるか、と問いかけました。
【「戦争体験の継承を考える」のシンポジウム及びワークショップの感想】
今回のシンポジウムは東京での開催でしたが、東京を会場地に選定したのは、沖縄・広島・長崎以外の地域に住む人々に、現場の声を聞き、そして学んでほしいというねらいがありました。それぞれの地域で、今どのような継承実践が行われていて、一方でその実践の中で抱えている課題は何かを学び、そして共有し合えたことは大きな意義があったと思います。以上、「戦争体験の継承を考える」のシンポジウム及びワークショップの報告でした。
【お問合せ】
一般社団法人かたわらでは、様々なテーマに合わせたワークショップの企画立案から運営まで行っております。お気軽にお問い合わせください。
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